一番は、やっぱり　『たも』だよね

　　
　　　　　　　　　　　　　

　　　本当の名前・・・、
　　　お店で売っているときの名前は『なまけたろう』だった。
　　　でも、我が家に来たときに真奈が名付けた名前が『たも』

　　　由来はなんだっけ？

　　　確か、たもたもしてるから・・・と
　　　その『たもたも』の意味はよくわからなかったけど
　　　いい名前だね(*^_^*)　とお母さんも言って、
　　　以来この子は『たも』になったね。

　　　抱っこすると適度な重さがあって
　　　向かい合わせの形で長い腕を肩に乗せると
　　　肩こりの解消にもなるし
　　　癒しに最適と思って真奈にプレゼントしたのは高校生の時。

　　　顔の表情がいくつかあって、色も紺と茶色があったんだよね。
　　　その中から真奈に選ばれて我が家にやってきた『たも』

　　　一人暮らしを始めるとき、
　　　持って行く荷物リストの一番にあがるほど
　　　離れられないものだったよね。

　　　寂しい時、悲しい時、悔しい時、泣きたい時・・・
　　　嬉しい時、楽しい時・・・
　　　どんな時も『たも』と一緒だったんだろうね。。

　　　真奈が帰省してくるときには、
　　　宅配便の荷物の中に入ってきて
　　　家にいる間に手洗いできれいにして、毛玉を取って・・・
　　　真奈と一緒に戻っていったね。

　　　『たも』のことをお友達にも自慢していたんだよね。
　　　真奈が気に入っていることを知って、
　　　真奈へのプレゼントにと
　　　『たも』の関連グッズを選んでくれたことがあったんだよね。

　　　お店に行って探しても『たも』に似ているのはあるけど
　　　名前が違うし・・・
　　　店員さんに
　　　『たも』はどこにありますかと聞いても、
　　　店員さんもわからなくて・・・
　　　『たも』なんていう商品はないと言われ
　　　でも、お友達は
　　　「いえ、友人のお気に入りでちゃんとあるんです。
　　　『たも』なんです」と食い下がったとか・・・。
　　
　　　それでは見つからないよね。
　　　だって、本当は『なまけたろう』なんだから。

　　　実は『なまけたろう』が『たも』だとわかって
　　　「なんで勝手に名前をつけるの！！」と言われちゃったと
　　　笑っていたね。
　　　
　　　「でも、みんな同じ名前なんておかしいよね。
　　　うちの子は『たも』だもん」
　　　と、誇らしげにいっていた真奈。

　　　真奈は『たも』のお出かけサイズ（？）も持っていて、
　　　本物の『たも』を連れて行けないときは、
　　　お手玉サイズの『こたも』と一緒だったよね。

　　　そんなにもお気に入りだった『たも』なのに・・・
　　　大きいから棺に一緒に入れてあげられなかった。

　　　お出かけだから・・・
　　　『こたも』と一緒で我慢してねと、
　　　小さなほうだけを入れたよ。

　　　出棺の朝
　　　大学のお友達が「一緒に入れてもらえますか」と、
　　　持ってきてくれた袋の中を開けると
　　　真奈の『こたも』と色違いのが入っていた。
　　　真奈のお気に入りと知っていて、
　　　きっと探し回ってくれたんだよね。
　　　真奈のことを思いながら・・・
　　　

　　　真奈のお気に入りの『たも』は
　　　今も、いつも真奈の真ん前に座っているよ。
　　　今まで通り、話し相手になってくれているね。
　　　
　　　

　　　
　　　　　　　